9月1日に開幕した秋季リーグ戦。開幕日に第一戦を戦った両校だが、雨天中止が続き第二戦は開幕から3週間が経過した今日行われた。

もう勝ち点を落とせない明治大学と立教戦の勢いそのままに優勝に向けて勝ち点を積み上げていきたい慶應義塾大学の試合は、あいにくの空模様で雨中の決戦となった。先発投手は第一戦と同様、明大は今季ブレイク中の期待のルーキー高島、慶大は不動のエース村石

初回、慶大は先頭の市野澤が中安で出塁すると2つの四死球で満塁のチャンスを作り6番大野が良い当たりを放つもセンターライナーに終わり無得点。一方の明大は村石の前にあっさり三者凡退。しかし2回に試合は動く。慶大の攻撃を無失点に抑えた明大は2回の裏、4番平島、5番高桑の連続安打と四球で無死満塁の絶好機を作ると、7番小須田が初球をレフトに犠牲フライ。待望の先制点を上げる。前回登板で打ち込まれた村石だったが、今日はここから大崩れせず、後続をしっかり抑え最小失点でこのピンチを脱した。

リーグ屈指の強力明治打線の前に早く追いつきたい慶大は、すかさず反撃。3回の表、明大高島が雨の中コントロールを乱し本日2つ目の死球で先頭を出すと、3番城下が絶妙なセーフティバントで続く。4番大町に対しても制球を乱し四球を出し慶大も無死満塁の絶好機を迎える。5番高野は右飛に倒れるが、6番大野がレフトへ犠牲フライを放ち同点に追いつく。ビッグイニングを作りたかったが、明大高島もここで粘りの投球を見せ最小失点で切り抜けた。

その後は両チームとも無得点が続き、迎えた5回表。慶大は2死から4番大町が中安で出塁すると、5番高野の打席でヒットエンドランを敢行。打球はセカンドの横を抜けてセンターへ。スタートを切っていた大町は一気に1塁からホームインし鮮やかな攻撃で待望の勝ち越し点を奪った。

再び試合が動いたのは、6回裏。明大先頭谷口がセーフティバントで出塁すると、売出し中の1年生3番原がお返しと言わんばかりの鮮やかなヒットエンドランを決め無死2.3塁の好機を作る。ここで.375と高い打率を残している好打者平島を迎える。甘く入った初球のストレートを見事レフト前に運び、セカンドランナーも帰り一気に逆転。明大ベンチ、スタンドが一気に活気づく。しかし村石も持ち前のコントロールで後続を断つ。

慶大は7回に村石から神田へスイッチ。この回から雨が強まり7回での雨天打ち切りも考えられる展開に。慶大が誇る2枚看板を投入し、なんとしてもこの試合を取りたいという気持ちがうかがえた。切れのある球と小気味良いテンポが持ち味の神田だったが、この日はぬかるんだマウンドを前に苦戦。4球連続ボールで先頭出塁を許すと、続く1番竹村にはレフト前に運ばれる。続く谷口は前の打席同様バントでの出塁を試みるもここはスリ−バント失敗に終わる。しかし3番、4番の打席で慶大の守備にミスが出る。雨でぬかるんだ影響でボールが手につかず失策を重ねてこの回3失点。完全に流れは明大ペースとなった。

なんとしてでも追いつきたい慶大は、8回表前の回からリリーフしていた前田を攻め立てる。神田同様に前田も雨の中苦戦。先頭大町を四球で出すと、続く高野もサード原のエラーで出塁。無死1.2塁のチャンスを作るが、代打吉川が三振、7番大塚も中飛と流れをつかめない。しかし2死から代打高田が左中間を深々と破る2塁打を放ち2点差に詰め寄る。しかし反撃もここまで。

8回裏に代わった長沢もエラーで出したランナーをヒットで返され失点。ライト大町のレーザービームで1失点に抑える。

後がない慶大だったが、最終回は好機を作れず試合終了。

順延が続き調整が難しい試合だったが、明大がうまい試合運びを見せ2連勝で今カードをものにした。

明大は3カード目にして今季初の勝ち点。対する慶大は2カード連続の勝ち点奪取とはならなかった。

〜ターニングポイント〜

激しい雨中の攻撃

勝敗を分けたのは7回裏の攻撃と8回表の攻撃だ。激しい雨の中、守備側がどう粘るかが鍵となった。明大は、転がす打撃を徹底し2つのタイムリーエラーを誘発。このエラーが結果的に試合を決定づけるものとなってしまった。

慶大も8回表に雨のなか苦しむ明大前田を攻め立てるも、三振、中飛、一邪飛と守備としては非常に守りやすい形となってしまった。雨中の試合という慣れない試合展開ではあったが、当たり前のプレーを当たり前にできたチームが勝者に、できなかったチームが敗者となってしまった。

〜データ分析〜

投球分析

コントロールが持ち味の慶大村石のコース別投球割合を見てみよう。

左右の打者のかかわらず、アウトコース低めに球が集まっている。雨中の中さすがとも言えるだろう。打たれたヒットも間を抜けるような打球が多かったこともあり、データを分析すると雨中の中でも実力は発揮できたと言えるのではないだろうか。7回3失点のクオリティ・スタートも達成。

一方で明大高島は、高めに球が集まっていたが球威で押して打ちとったということがわかった。コースには投げれているものの高めに浮いていたという傾向が見られた。しかし、持ち前の球威と多彩な変化球で打者を翻弄していた。

データを分析していると投手のピッチングスタイルの違いで全く別物になるという興味深い結果が見ることができた。ぜひ皆さんもデータ分析にも着目してほしい。

打球傾向を分析すると

慶大はフライアウトが10個と雨中のゲームとしてはもったいない攻撃が目立った。対する明大は半分の5個。このような数字にも明大が効果的な攻撃ができていたことが伺える。野球は多く打って点を多く取ったほうが勝つスポーツである。この試合のチーム打率に注目してみよう。印象として明大が終始攻撃でも攻めていたように見えたが、チーム打率は両チームともに.277という結果に。四死球においては慶大が4つ、明大が6つという結果になった。数字的に見ると実力は拮抗している同士の試合であったが、野球というのは目に見えない「流れ」というものが非常に重要なスポーツだ。明大は雨と流れを味方につけることができたことが勝因だったと言えるだろう。

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