北海道大会

5年ぶりの決勝進出を果たした札幌大谷が決勝で札幌第一を9-6で破り、初優勝を果たした。決勝では先発の西原が序盤に4点を失ったが、救援した太田が7回2失点と好投して逆転につなげた。太田は2回戦(対滝川西)、準決勝(対駒大苫小牧)でも2番手として登板し好救援、先発した準々決勝(対白樺学園)では9回1失点完投と大車輪の活躍だった。打線も試合を重ねるごとに機能し始め、準決勝、決勝は2試合連続の2ケタ安打で計15点を奪って打撃戦を制した。

 2年ぶりの優勝を逃した札幌第一は大坪が16打数10安打5打点で7得点、4試合すべてで安打、打点、得点を記録する大活躍で打線をけん引、チームとしても4試合連続の2ケタ安打で計36点と打線の破壊力では札幌大谷に引けを取らなかったが、準々決勝(対旭川大)で5点、決勝では4点を先制しながら追いつかれるなど投手力に不安を残した。

優勝した札幌大谷は神宮大会でも優勝、北海道地区に神宮枠をもたらしたため、準優勝の札幌第一も来春の選抜大会出場が有力となった。

 また、ベスト4の駒大苫小牧は札幌大谷戦で延長の末に惜しくも敗れたが、1回戦(対釧路工)でコールド勝ち、2回戦、準々決勝では6-0、3-0で完封勝利と危なげない試合運びで勝ち進んでおり、チーム力の高さを感じさせた。

東北大会

 八戸学院光星が5年ぶり5度目の優勝を果たした。2回戦(対専大北上)をコールドで突破すると、羽黒戦は3-2で逆転勝ち、花巻東と対戦した準決勝は序盤からリードを奪って逃げ切り、決勝(対盛岡大付)では主砲の武岡が先制本塁打と適時三塁打で3打点を挙げる活躍をみせ、5-3で勝利した。武岡は大会通じて6打点と力を発揮、投手陣も羽黒戦、花巻東戦で連続完投勝利を挙げた後藤を中心に、4試合すべて3失点以下と安定していた。

 決勝で敗れた盛岡大付も準決勝までの3試合は合計25得点、2失点と危なげなく勝ち進んだ。エースの阿部は初戦の最後のアウト以外はすべて1人で投げ切り、準々決勝以降は3試合連続完投、勝てば選抜大会出場に大きく近づく準決勝(対古川)では相手打線を散発3安打に抑え8奪三振と完ぺきな投球だった。

 この2チームが選抜大会出場を有力としているが、山形大会2位の羽黒も八戸学院光星戦でエースの篠田が好投、2-3と優勝校相手に接戦に持ち込み地力をみせた。今後の躍進に期待したいチームだ。

東京大会

 東京大会は国士舘が10年ぶり6度目の優勝を果たした。国士舘はすべての試合で先発した白須が5~6回を投げ、山崎、石橋への継投で逃げ切るという継投パターンが確立。大会中リードを許したのは2回戦(対昭和一学園)だけという安定した戦いで勝ち進んだ。一方で打線は3回戦(対関東一)の12安打が最多、2ケタ得点はなしと爆発力に欠けた。6試合で4失策の守備にもみられるように守って勝ち取った優勝だった。

 東海大菅生はエースの中村晃が奮闘、3回戦で強豪・二松学舎大付を1失点に抑えて完投すると、以降の3試合もすべて完投、決勝も初回の4失点以外は1安打無失点と完ぺきな投球だった。打線は3回戦以降の4試合で11点と得点力は低く、国士舘同様に来春に向けての強化ポイントとなりそうだ。

 このほか今大会では優勝候補の日大三が初戦で目白研心に5-7で敗戦、国士舘から唯一リードを奪った昭和一学園は初戦でも小山台にから勝利、成蹊も関東一戦で9回1アウトまでリードを奪う大健闘をみせるなど、甲子園未出場の新興勢力の台頭も目立っていた。

関東大会

 桐蔭学園が24年ぶり3度目の優勝、16年ぶりの選抜出場もほぼ確実にした。桐蔭学園は1回戦(対常総学院)で9回裏2アウトまで3-5の2点差と追い詰められたが、そこから敵失と森の満塁本塁打で劇的な逆転サヨナラ勝ち、これで勢いに乗ると続く準々決勝(対佐野日大)、準決勝(対習志野)は先発の伊禮が1失点、2失点で連続完投し快勝、決勝の春日部共栄戦では再び森が活躍、

1回に2ランを放つと、6-6の6回には決勝の3ランを放ってチームを優勝に導いた。

 準優勝の春日部共栄はエースの村田が1回戦(対藤代)準々決勝(対横浜)準決勝(山梨学院)と3合連続完投し勝ち進んだ、決勝では初回5失点と崩れたものの22年ぶりの選抜出場をほぼ確定させる原動力となった。

 ベスト4の残り2校は山梨学院と習志野。山梨学院は1回戦で中央学院、2回戦で前橋育英と今年の夏の甲子園にも出場し、秋の県大会でも1位となった実力校を撃破、4番の野村は2試合連続本塁打を放つなど長打力が魅力。習志野は延長14回の死闘となった1回戦(対桐生第一)でタイブレークの2イニングを含む9イニングを無失点に抑えた飯塚が、準々決勝(対東海大甲府)準決勝(対桐蔭学園)でもリリーフで登板し好投、14回2/3で自責点は0と素晴らしい内容だった。

 選抜大会の出場枠は関東、東京で6となっており、準々決勝で敗れた東海大甲府、佐野日大、前橋育英、横浜が東京大会準優勝の東海大菅生と出場枠を争う形になりそうだが、東海大甲府はシードのため準々決勝が初戦で大会未勝利、あとの3校は準々決勝で大差負けと印象が悪く、選抜出場は微妙な状況、残り1枠は東京の東海大菅生が有力だが、1回戦で優勝した桐蔭学園をあと一歩まで追い詰めた常総学院にもチャンスはありそうだ。

北信越大会

 エース奥川が躍動した星稜が24年ぶりに北信越大会を制した。奥川は準決勝までの3試合で18イニングを無失点、啓新との決勝戦でも失策絡みで2点を失ったが延長15回を自責点0で投げ切り、大会を通じて防御率0.00、与えた四球も1つだけと圧倒的な投球を披露した。チームは再試合となった決勝の2試合目で奥川を温存、寺沢、萩原の継投で4点を失いながらも勝ち切った。

 星稜と2試合にわたる熱戦を展開した啓新は初戦(対富山第一)と準決勝(対上田西)で逆転勝ち、準々決勝(対遊学館)では2度追いつかれながらも三度突き放すなど接戦をことごとくものにした。全試合で救援登板した浦松は19回1/3を無失点と奥川に引けを取らない素晴らしい投球で快進撃を支えた。

 この2校が選抜への出場を有力としているが、今大会では長野勢(上田西、松本第一、東海大諏訪)の活躍も目立った、3校がすべて初戦を突破、中でも県大会1位の上田西はエース阿部の力投で1回戦(対帝京長岡)を9-0、準々決勝(対福井工大福井)を8-1で完勝したが、準決勝の啓新戦で阿部が降板後の7回に一気に4失点し逆転負け、惜しい試合を落としたが今後も注目したいチームだ。

東海大会

 強力打線を擁した東邦が3年ぶりに東海大会を制した。初戦となった準々決勝の岐阜第一戦を7-0で完勝すると、準決勝(対中京学院大中京)では長屋が9回に起死回生の同点3ランを放って延長戦に持ち込み10-9で逆転サヨナラ勝ち、決勝でも16安打で10点を奪って圧勝した。3試合で43安打、27得点、本塁打も4本と打線は全国屈指の破壊力を誇っている。

 準優勝した津田学園も打線は強力で4番の前川は3試合連続本塁打で打率は.677、下位を打つ小林も打率.727とバットが振れていた。決勝ではそこまで1人で投げ抜いていたエースの前が序盤で7失点、救援した髙手、振井も相手打線の勢いを止められなかった。前に続く投手の台頭が待たれるところだ。

 東海地区も選抜への出場枠は2となっており、この2校の選出が濃厚だが、中京学院大中京も岐阜大会で優勝、地区初戦となった準々決勝は不後が完封し強豪三重に7-0でコールド勝ち、東邦戦も9回までは5点のリードを奪っていた。東邦の驚異の粘りに屈する形とはなったが実力は上位2校に匹敵するものがあった。

近畿大会

 近畿大会は京都大会3位から出場した龍谷大平安が5年ぶり6度目の優勝を果たした。初戦で難敵天理を4-3で破ると、続く準々決勝(対市和歌山)は8回に追いつき、9回にサヨナラ勝ち、大阪1位の履正社と対戦した準決勝は7-0でコールドと完勝、決勝(対明石商)は投手戦の末、延長12回に逆転サヨナラ勝ちと、大会を通じて勝負強さを発揮し続けた。準決勝、決勝で先発した野澤は決勝の12回1失点など26回で2失点の快投、選抜出場のために重要となる準々決勝での好救が光った。

 準優勝した明石商もエースの宮口が準々決勝(対報徳学園)の大一番で完封勝利、決勝でも11回までは無失点と、龍谷大平安の野澤に劣らぬ投球を披露、打線も全4試合で2ケタ安打、準決勝では智辯和歌山を12-0で一蹴するなどトップクラスの攻撃力を発揮した。

 ベスト4で大敗した履正社、智辯和歌山も選抜出場はほぼ確定、2校ともエースが先発した初戦、準々決勝は快勝しているだけに、控え投手の底上げが課題となりそうだ、

 選抜の出場枠を争う残り2校は決勝に進んだ2校に善戦した報徳学園と市和歌山が有力だが、1回戦で龍谷大平安と1点差の接戦を展開した天理にも可能性はありそうだ。夏の甲子園優勝校の大阪桐蔭は準々決勝で智辯和歌山に敗戦、智辯和歌山は次戦でコールド負けしており選抜出場はかなり難しそうだ。

中国大会

 広島大会を制した広陵が中国大会で12年ぶりに優勝、6年ぶりの選抜出場を確実にした。広陵は準々決勝(対関西)で先発の河野が8失点と炎上したが打線が反撃、最後は石原が好救援し逆転勝ちすると、選抜出場のかかった準決勝(対創志学園)では河野が8回無失点と復調、決勝では石原が2番手で登板し7回無失点。1回戦で先発した森と合わせて投手陣の充実が目立った。

 23年ぶりに決勝に進んだ米子東は準決勝までの3試合にすべて逆転勝ち、大会を通じて6本の犠飛を記録、全23得点のうち12.点を適時打以外で挙げるなど多彩な得点パターンで接戦をものにした。ただエースの森下を始めとする投手陣は4試合すべてで5失点以上。より一層の躍進のためには失点を減らすことが課題となるだろう。

 ベスト4の残りの2校は呉と創志学園。呉は主戦の沼田が3試合を一人で投げ抜き10失点、29回で1四球の制球力が持ち味で1イニング平均の投球数も13球を切るなど高い完投能力を誇っていた。創志学園は全国屈指の好投手西を擁したが、準決勝でまさかのコールド負け。延長戦で敗れた呉と比較しても負け方が悪く、選抜出場はかなり厳しい状況、呉は四国大会ベスト4の富岡西、高知商と残り1枠を争うことになりそうだ。

四国大会

 3年前の選抜で準優勝した高松商業が3年ぶりに四国大会を制覇した。初戦の準々決勝で全国屈指の強豪明徳義塾を4-2で破ると、準決勝では夏の甲子園ベスト16の高知商に10-4で快勝、決勝でも今年の選抜に出場した松山聖陵を3-1で下して文句なしの優勝を果たした。エースの香川は粘り強い投球が持ち味でスタミナも十分、決勝戦では中塚も7回1失点と好投した。

 準優勝の松山聖陵は4試合すべてで3失点以下と投手力が安定、準決勝までの3試合は先制した得点を、エースの平安山と3投手の継投で守り切る展開で勝ち進んだ。一方打線は初戦こそ13安打11得点と機能したが、以降は6安打、6安打、7安打と低調で来春に向けての強化ポイントとなるだろう。

 ベスト4に進んだ富岡西は1回戦で9安打8得点、準々決勝では5安打で10得点、四球や相手の失策を足掛かりに抜け目のない野球で効率よく得点を挙げた。準決勝でも終盤まで接戦を展開し、中国・四国地区の5つ目の選抜出場枠の有力候補となっている。

九州大会

 初の決勝に進出した筑陽学園が初優勝を果たした。1回戦(対小林西)、準々決勝(対興南)はいずれも相手のサヨナラエラーで1-0の勝利、準決勝の大分戦も延長12回の熱戦、決勝(対明豊)は5点を先制されながらの逆転勝ちと、どちらに転んでもおかしくない試合をすべて制しての優勝だった。エースの西舘は選抜出場のかかる興南戦でタイブレークの延長13回を無失点でしのいでサヨナラ勝利を呼び込み、決勝でも先発の西が5失点した後に2番手で登板、5回無失点で明豊打線の勢いを止めて逆転につなげた。

 準優勝した明豊は4試合すべてで2ケタ安打を記録、野邊、藪田、成田と3人の選手が本塁打を放つなど破壊力も十分。すべての試合で先制点を挙げ、若杉、大畑の継投で逃げ切るという危なげない試合運びで勝ち進んだが、決勝では大畑、若杉がともに失点して5点のリードを守れず11年ぶりの優勝は逃してしまった。

 ベスト4の大分はエースの長尾が3試合すべて完投、準決勝の筑陽学園戦では延長の末に敗れたが、9回までは1失点と抜群の内容だった。ただ筑陽戦で3失策を記録するなど3試合7失策の守備面はまだまだ向上の余地があるだろう。ベスト4のもう一校、日章学園は1回戦で強豪九州国際大付に7-5で勝利、準決勝も8-1で快勝した。上位を打つ深草が11打数8安打で5得点と得点源になり、選抜出場もほぼ確実としている。

 1回戦で筑陽学園に敗れた小林西は9回裏1アウトから連続失策で敗戦、8回まで無失点の鶴田は無安打で決勝点を奪われる不運、同じく筑陽学園に敗れた興南もエース宮城が1回戦(対熊本国府)で2失点完投、準々決勝もタイブレーク突入前の12回までは0-0と互角の試合運びをみせ、両校ともに優勝校に見劣らない実力を感じさせた。

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